夢の再生治療
【失われた組織や細胞を再生】
先日、モナコで骨学学会が開催されました。世界中から、歯科の骨の再生に携わる歯科医院や医師が集まりました。華やかなオープニングセレモニーの後、学術講演では著名な先生がたによる骨の再生治療の発表が行われました。
歯周病では、わが国でも再生治療が保険適用されて久しいです。歯周病や歯を失うことで失われた骨を補てん、再生する再生治療。今回は、モナコの学会の内容にもふれながら歯周病により失われた骨を再生する治療を中心にお話します。
本来、人間の体は失われた組織や細胞を再生する能力が備わっています。その骨の治癒について研究している最中に、jikoをが起こって事件骨と金属がくっついてしまいました。その金属がチタンだったことから、現在、チタンが多くの医療分野で応用されています。発見したブローネンマルク先生はスウェーデン、イエテボリ大学の整形外科医でした。
【骨の再生の素材と段階】
骨の再生治療で使われている骨素材には
①骨そのものである自家骨、②御遺体から抽出精製された骨の成分、③人口骨ハイドロキシンアパタイト、④豚や牛から精製されたもの、これら4つのものが代表的ですが、4番目の「キセノグラフト」という豚、牛由来の骨素材の移植が、歯科分野でも歯周病の治療に応用されています。
骨の再生段階にはモデリングとリモデリングという段階があります。モデリングは、血液から段階的に、網状骨が出来るまでのステージをいいます。主に形式的な変化がみられる時期です。リモデリングでは、この軟らかい骨が、徐々に固い骨に置き換えられて機能的にも成熟していきます。
しかし、再生治療の過程で、これらの骨再生が十分に行われる前に、上皮がものすごい速さで入り込み、自己と非自己を隔ててしまおうとします。
上皮の侵入を防ぎ、骨再生の時間を稼ぎ、充分な骨の量を確保する目的で治療に使われているのだが、歯科材料の一つでメンブレンという人工膜です。メンブレンを使った治療は、現在保険適用となっています。
【iPS細胞へ大きな期待】
現在の歯科の再生治療は、失われた骨を復元出来るという大変画期的な治療ですが、再生された骨は本来の骨に比べて軟らかく、経年的には量に減少が見られるのが現状です。
その欠点を補う意味でもノーベル賞受賞の山中教授によるiPS細胞によせる期待は大きく、今後本当の意味での骨再生が可能になれば、歯科における骨再生治療は飛躍的に精度が高まるでしょう。健康な顎骨、1本でも多い歯は、豊かな食生活の支えです。長寿社会の日本で、体の機能を若々しく維持させる医療分野の発展は大変意義深いものと言えます。詳しくはかかりつけの歯科医院でご相談下さい。